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2014年3月12日水曜日

サンライズ出雲号「ノビノビ座席」を利用してみました。

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サンライズエクスプレスで上京しました。今や数少ない寝台特急なので個室寝台を利用してもいいんですが、せっかくサンライズ号に乗るんだからこの列車にしかない「ノビノビ座席」を体験してみることにしました。今回は大阪~東京駅間での利用です。



ノビノビ座席とは

座席ですがイスはありません。なんと寝転べます。船でいうところの、2等船室(雑魚寝)と2等寝台を足して2で割ったぐらいのイメージです。

上段・下段の2層構造で、上段は階段にて登ります。床は暖房入りのカーペット敷きで、頭の部分だけを覆うパーティションが区画を判別させてくれます。またこのパーティションのお陰で寝顔が隣席の乗客に見られないようになっています。カーテンは通路側のみ備え付けられています。
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各区画すべてに窓があります。列車ならではの車窓は余すことなく堪能することができます。

窓の上部には読書灯と通風口があります。読書灯と通風口は自分で操作できるようになっています。

備品はブランケットのようなシーツと洗面用の使い捨てコップのみです。枕はありません。確かに、あくまでノビノビ"座席"なので、枕は要らないという考えなのかもしれません。

特筆すべきはその価格。なんと乗車券と指定席料金のみで乗車できます。寝台券は不要です。私が乗車した2月下旬だと閑散期扱いなので3130円です。
安いから洗面所の利用が制限されているといったことはありませんし、シャワーも車掌よりシャワーカードを購入すれば利用できます。また申し訳程度にあるロビーも利用できます。


乗車記

大阪駅は0時34分の発車です。0時25分の本線・最終電車が発車した後の静寂に包まれた大阪駅に、オレンジ色をまとった2階建て14両の列車が堂々たる威風で入線してきます。

なにぶん深夜の発車ですから時間をつぶさねばなりません。この日は梅田で23時40分頃まで飲んでいました。もう少し居たかったのですが、2時間の飲み放題が終わったと同時に追い出されました。

店を出、駅へ向かって歩いていると、終電を逃すまいと急ぎ足で駅に向かっている方を多数見かけました。大阪駅だけでなく、阪急の梅田に向かう方もかなりおられるでしょう。
大阪駅中央改札口に着くと、唯一開いている売店「アントレマルシェ」では大勢の方が出入りしています。同時に各線終電のアナウンス、乗り遅れまいと走る客の足音、見送りの団体の声……今が深夜とは思えない盛況ぶりです。水曜の夜でこうですから、金曜の夜だとさぞ盛大でしょう。
ふと電光掲示板を見やると、なにやら赤い文字が。「遅れ約10分」サンライズ号は遅れているようです。長距離を走る列車ですから、これぐらいの遅れなんてどうってこともないです。
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気づくと0時15分。なんだかんだで時間は過ぎていました。飲んでいた方とはここでお別れ。方や家路に、方や改札へ。
サンライズが入線する11番のりばに向かうと、同じく乗車予定の乗客がざっと10数名、今か今かと待ちわびています。終電で忙しいのりばとは対極の静かさです。

0時25分。各線終電が発車すると、さっきまでの喧騒が嘘のように静まります。試しにコンコースへ上がると、人っ子一人いません。電光掲示板の表示も残すはサンライズのみ。
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0時30分を過ぎると、11番のりばで待つ乗客がさらに増えました。

13分遅れの0時47分、ポイントで巨体を揺らしながら今宵の宿が入線してきました。
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遅れていることもあり「お客様の乗車が済み次第発車」するとのこと。
前の方に続いて車内に入ると、ノビノビ座席のカーテンはほぼ閉じられており、もう1時前ということもあってみなさん寝静まっておられます。空いてる席も大阪からの乗客で満席になりました。
意外なことに女性客も多数居られました。このサンライズ出雲号は出雲大社の「平成の大遷宮」の影響もあって「縁結び列車」とも呼ばれているそうで、女子会がてら、この列車で和気あいあいと楽しむ利用シーンもあるようです。

列車は大阪駅を離れ、ぐんぐん加速していきます。自分の席に登り、寝るためのエア枕を膨らましていると、車掌が検札にやってきました。周りが寝静まっている中の検札も大変だと思います。
枕を膨らまし終え、寝転びながら外を眺めていると、京都駅を通過しました。夜も遅いですが駅員の方が何か作業をしておりました。

私も寝るためシーツを掛けたのですが、どうも短いです。足りない部分はコートで補うことにしました。また駅通過時の照明がまぶしいので遮光幕を降ろしました。通風口の風量も調節しました。
自分好みの環境になったところで、やっと就寝。床暖の暖かさとインバータの音、列車の揺れが大変気持ちいいです。

ふと目覚めると鴨宮駅を通過しているところでした。「あれ?目覚まし代わりのバイブが震えない」よくよく考えると目覚ましをかけ忘れていました。ただ時間的にはちょうどいい目覚めです。目覚めるとともに風光明媚な景色を味わえるのはすばらしいです。

そろそろ横浜で降車する方で洗面所が混みそうなので、付属の使い捨てコップを手に歯磨きに向かいました。幸い洗面所は空いておりました。ただこの辺りの東海道線は揺れます。洗面所は車端部ですから、そりゃもう大変。ポイントを通過するごとに衝撃がくるので、壁にもたれながらの洗面でした。

自分の座席に戻ると、周りの方も起床しだしたようでした。枕の空気を抜き、降車の準備をし終え、ぼーっと外を眺めていると、併走中の乗客と目が合いました。気まずいので遮光幕を降ろしました。
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程なくして「おはよう放送」がありました。列車は定刻で運転しているとのこと。この列車に乗って初めての放送です。
しばらく後、右手に京浜急行が見えたところで横浜駅に到着。半分ぐらいの方が降車しました。

横浜駅を出ると、東京駅までは20分です。忘れものがないことを確かめて、誰も居ない下段の座席に腰掛けました。田町駅や浜松町も早朝なだけあって静かです。
終着の放送があり、ゆっくりと東京駅に入線。7時8分の定刻で9番線に到着しました。
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感想

寝台列車は「ゆったり」としたイメージがありますが、このサンライズ号、特に大阪~東京間に限っては当てはまらないと思います。さすが寝台"特急"だけあって、6時間半で東京まで行けるのはすばらしいことなのですが、寝ることを考えると少し短いです。1時に寝て6時に起きると、5時間の睡眠です。これだけ眠れば十分ですが、寝台列車になれるまでは自宅のような深い睡眠は得られませんから、実際はもっと寝てないように感じます。睡眠以外もシャワーや洗面があるので、結構慌ただしいです。

上りの大阪発車が「急行きたぐに」みたく23時30分ぐらいに出てくれるともっと使いやすいです。高松と出雲を結ぶのがこの列車の本旨なので、私のような区間利用がとやかく言えないですけど。

列車自体の満足度はかなり高いので、後はダイヤがなんとかならんものかと思いました。


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